オープンカラーシャツ

2026/3/31

記憶に残っているシャツから始まった企画。

最近、洋服に求められる“ゆとり”が、少しずつ変わってきていると感じています。
ただ大きいだけではなく、どこかに節度があり、無理のない余白がある。そんなバランスです。

自分がこの業界に入った頃、強く印象に残っているシャツがあります。ロロピアーナのイタリアンカラーシャツです。 当時イタリアでは、“collo Loro Piana”と呼ばれていました。襟が自然に開き、過剰な演出がなくても、きちんと優雅に見える。 あれは、構造として完成されていたのだと思います。

素材はリネンやメッシュなど、軽く風を通すものが中心でした。中でも白のシャツは、特に印象に残っています。 白という色が持つ清潔さ以上に、どこか豊かで、余裕のある佇まいがあった。

イタリアにいた頃、街の中で何度も見かけましたが、特別なものというよりも、自然にそこにある存在だったことが印象的でした。

その時の空気を、今の時代にどう置き換えるか。そこから今回の企画は始まりました。
リゾートだけで完結するものではなく、日常の中で無理なく着られるものにしたい。 一枚で着ても成立し、Tシャツの上に羽織ることもできる。 ジャケットやブルゾンの中に入れても違和感がない。そんな立ち位置を意識しています。

また、一枚でスタイリングが整うように、胸にはフラップポケットを2つ配しました。 シンプルな構成ですが、これによって適度な表情が生まれる。 軽いだけのシャツではなく、きちんと“服としての存在感”が出るように設計しています。 一枚でも成立するが、主張し過ぎない。そのバランスを大切にしました。

サイズ感も、当時のゆとりをベースにしながら、今の着こなしに馴染むよう調整しています。
そして一番大事にしたのは、やはり襟です。このシャツは、襟で印象が決まると考えています。どう開くか、どう返るか。 細かな部分ではありますが、ここにはかなり時間をかけました。

今回は、日本を代表するシャツ職人である山神さんに製作をお願いしています。 試作を重ねながら、少しずつ理想の形へと近づけていきました。 一つひとつは小さな調整ですが、積み重なることで全体の見え方は大きく変わる。改めて、その重要さを実感しています。

完成したシャツは、素直に「良い」と思える仕上がりになりました。 一枚で着ても無理がなく、羽織りとしても、インナーとしても使える。 着る側が構えなくても、自然と整って見える。そんな一着に仕上がっています。

完成度はかなり高いです。そして、とても格好いい一枚になりました。