2026年 10月 08日
【第10回】〝怪しいMade in ITALY〟に騙されるな!

最近、ニュースなどでよく話題になるのが、Made in ITALYを謳いつつも実際は中国や東欧で縫っていたり、もしくは外国人しかいない工場で縫われている・・・みたいな、ファッションの産地偽装問題です。
長年イタリアのファッションに携わっている人間からすると、その問題は確かにあるんです。
フィレンツェの郊外にあるプラートという街は、数千ものテキスタイルや縫製工場を擁するヨーロッパ有数の繊維産業の街なのですが、そこにはイタリア最大のチャイナタウンがあり、不法労働や産地偽装の温床になっているといわれ、たびたび海外のメディアで報道されています。今は大きいブランドに関してはリーガルチェックが厳しいのであまりおおっぴらにはできないと思いますが、やはり私も不法労働の話はよく聞きますし、この地で働く中国人のおじさんたちが、誰もが知る有名ブランドの仕事を「お前んところでこれやるか?」みたいな会話を堂々としていますから。

アドリア海の対岸にあるアルバニアでつくった服を船でイタリアに運んだり、インドや東南アジアでつくった服をイタリアの会社を通してMade in ITALYのタグをつけて売っているとか、そういった工作を手がけるブローカーがあそこにいるぞ・・・みたいなうわさ話は枚挙に暇がありません。
当然ぼくは筋のいい会社としか仕事をしないので、そういった話とは無縁ですし、持ちかけられたこともありませんが、今やイタリアの縫製工場は、外国人の職人さんを抜きにして語ることはできません。だいぶ前からイタリアの若者たちはものづくりの仕事を避けてきたので、職人の高齢化はどんどん進んでいますし、20〜30年後にMade in ITALYは残っていないんじゃないか?と心配になってきます。最近のイタリアブランドの洋服のタグを見てみれば、ルーマニア、ポルトガル、モロッコ、アルバニア、ポーランド・・・さまざまな生産国の名前が記されていることに気がつくでしょう。
ただ、そうした海外の工場や、中国人が縫っているイタリアの工場もなかなか高い技術をもっていたりするので、意外とあなどれないんです。そもそもMade in ITALYがどうして人気になったかというと、クオリティが高いからですよね? だとしたらぼくは、そのクオリティさえ担保されていれば、どこの国で誰がつくっていても、構わないと思うんです。そこに偏見はまったくありません。
なので問題は消費者にウソをつくことなんですが、やっかいなのはぼくたちが〝怪しいMade in ITALY〟を見破るのが不可能に近いこと。高価な有名ブランドもやっているのなら、ラベルや価格では見分けがつきませんよね?
なので消費者がやれることは、ブランドネームで判断せず、プロダクトじたいのクオリティを見極められるようになること。そして少しでも筋のいいお店で買う以外に、対策の立てようはありませんね。
note | 神藤光太郎のクラシコイタリア秘史
30年近くに及ぶキャリアの中で得たものづくりに関する知見や、国内外のつくり手たちとのネットワークを駆使して産み出した、リアリティとハイクオリティの極致を、noteでお話していこうと思ってます。ぜひご覧ください。
