理想像を具現化させたウォッチベルト

時計マニアで服マニア。
ふたつの相乗効果から生まれた
ウォッチベルトの極致!

Masterplanが誇る名品を構成する〝5つの要素=5 Elements〟を、編集者・山下英介が解き明かすこの連載。今回は年季の入った機械式時計マニアも唸らせる、ウォッチベルトを研究しました!


「スピラーレ」代表の神藤さんといえば、知る人ぞ知るファッション業界屈指の機械式時計マニア。ヴィンテージから現行品までその守備範囲は異常に幅広く、今みたいな時計ブームが起きるずっと前から、世界中のウォッチストアにアンテナを張り巡らして、貴重な個体を次々と入手していた。何を隠そうぼくもその恩恵にあずかったひとりで、現在所有している自慢の一張羅時計、パテックフィリップの『3796』も、神藤さんから譲ってもらったものなのである! 

ただ神藤さんが巷の時計マニアとひと味違うのは、どんな貴重な個体だろうが惜しみなく使い倒す、洋服好きとしての業(ごう)というか性(さが)。そういえば彼は10年以上前から、繊細を極めたドレスウォッチの『カラトラバ』にラフなNATOストラップを通して楽しんでいたけれど、当時はそんなコーディネートをしている人なんて、まわりにひとりもいなかったと思う。つまり神藤さんの時計とファッションを見る目は確かであり、その審美眼から生まれるプロダクトもまた、信頼に足るものだということだ。

そんな神藤さんが『THE SOLE』を立ち上げて、一番最初につくった時計ベルトは、当然のごとくNATOストラップだったという。

「ずっと時計ベルトが好きでいろんなところでオーダーしていましたが、〝カジュアルなNATOストラップを、ドレス仕様の上質な革でつくったらどうなんねん〟と、個人的に職人さんにつくってもらったのがその始まり。自分で会社を始めたときに、それまでのオーダーで蓄えた理想像を具現化させたのが、このストラップだったんです」。

ただの時計マニアでもファッションマニアでも辿り着けない、神藤さんならではの境地から生まれた『THE SOLE』のウォッチベルトは、今は世界を代表する時計ブランド『NAOYA HIDA』からの発注を受けるほどに成長した。そのこだわわりは、以下のとおりだ。

1.
時計と着こなしを選ばない
完成されたデザイン

『THE SOLE』のウォッチベルトには、大まかにいうと英国ミリタリーをルーツにもつNATOストラップタイプと、ベーシックなタイプの2種類が用意されている。しかしもともとナイロンでつくられていた前者は上質なレザーでアップデートされているし、一見普通っぽく見える後者も、実はほかにはないちょっと珍しい仕様を取り入れている。たとえば厚みのない平づくりのレザーで、ステッチを入れず仕上げたタイプはいわゆる〝ヴィンテージストラップ〟と呼ばれ、かつてイタリアのファッション業界人の間で流行ったスタイルがモチーフ。ヴィンテージウォッチとの相性は抜群だ。しかも汗や皮脂から時計を守る同素材のウォッチプロテクターも別売りで販売しているのが嬉しい。半袖が増える夏場は、着こなしのアクセントにもなるんだよね。

2.
革フェチの面目躍如! 
専業メーカーにもない
レザーラインナップ

レザーマニアとして名高い神藤さんが『THE SOLE』のために揃えた素材のラインナップは、専業メーカーにないものばかりだ。クロコダイルひとつとってもマット仕上げとヌバック仕上げに加え、「ヒマラヤ」と呼ばれる真っ白な珍品を揃えている点に驚かされるが、それだけじゃ終わらない。「ヴォリンカ」と呼ばれる英国製ロシアンカーフ、エレファント、フランスのHAAS社がなめした「ヴォー・エプソン」カーフの手編みメッシュ、そしてワインハイマー社がつくった美しい発色と耐水性を兼ね備えたカーフ「WAPRO LUX」・・・。もちろんそれぞれのレザーは、最適な厚みとコバの処理によって整えられ、美しいウォッチベルトに仕立てられるのだ。その種類はどんどん増えているから、お見逃しなく!

3.
〝持ちのいい〟裏地、
使ってます!

どうしても消耗品的な側面のあるレザーストラップだけど、せっかくの上質なレザーストラップ、できる限り長持ちさせたいよね? というわけで『THE SOLE』がこだわっているのは裏地。クロコダイルレザーの裏地には、強靭なオーストリッチ(ダチョウ)のベリー(腹部)部分を使って、汗や皮脂による劣化を極力抑えつつ、着け心地のよさも実現している。もともと汗に強い「WAPRO LUX」なら無双仕立て(裏地にも表地を使うこと)にしてしまう贅沢ぶり。汗かきな人も安心、なのだ。

4.
『THE SOLE』の金具は
脇役じゃない!

時計好きなら誰もががっかりしたことがあるだろう、替えストラップに付属している尾錠の安っぽさ。当然神藤さんもその経験者ゆえ、メタルパーツには絶対手を抜かず、すべてオリジナルで製作! カジュアルなNATOストラップなら落ち着いたマット仕上げをベースに、ゴールドとシルバーの2色を用意。そしてドレスモデルなら、ジュエリー職人が手磨きで仕上げたステンレスや、真鍮を削り出して表裏で仕上げを変えたものなどを使い分けている。もはや隠れた主役なのだ。

5.
時計を選ばない
2サイズ展開

『THE SOLE』のストラップは、各モデルで18㎜と20㎜の2種類展開している。ヴィンテージのドレスウォッチから現行のスポーツモデルまで、たいていの時計にセットできるはず。パテックフィリップの『カラトラバ』だろうが、ロレックスのスポーツモデルだろうがどんと来い、なのだ。

今回、『THE SOLE』のウォッチベルトをじっくり見て触って感じたのは、徹底したユーザー目線。時計好きな人がストラップに求める要素や、今まで不満だった点を徹底して解析して、プロダクトに落とし込んでいるのだ。でもそれって、神藤さんが誰よりも時計が好きだからできることなんだよね。 きっと『THE SOLE』のウォッチベルトは、神藤さんの時計コレクションの推移に応じてこれからも進化していくはず。ぼく自身も、楽しみにしています!



PROFILE
山下英介
やました・えいすけ/1976年埼玉県生まれ。『LEON』編集部を経て、『MEN’S Precious』のクリエイティブディレクターを務める。現在ウェブメディア「ぼくのおじさん」編集人。
https://www.mononcle.jp/